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マネジメントの力で良くしてみよう

あるべき姿を合意する

あるべき姿は、マネジャーが一人頑張れば実現できるものではありません。メンバー全員が自分の役割をきっちり果たすことによって、はじめて実現できるものです。

管理職の経験が少しでもあれば、よくご存知だと思いますが、目標を設定したら、部下が皆、一意専心にその達成に向けて邁進するものではありません。

それにもかかわらず、多くの会社では、目標を割り当てて、その内容を通知しただけで、活動を始めてしまいます。メンバーとその目標を合意するどころか、じっくり話し合うことすらせずにです。「目標について部下と合意する」という発想がおそらくないのでしょう。これまで、上司からそんなことをされてきていないからだと思います。目標を達成しようとするのは、業務命令のようなもので、「やりたい」とか「やりたくない」などと考えるべきものではない、ということでしょう。確かにそうかもしれません。しかし、それでは、成果は出ないのです。

上司からはわかりにくいかもしれませんが、管理職の方は、目標に対して納得していない人が少なくありません。管理職の方と1対1でミーティングをしていると、「目標が高すぎる」とか「目標の根拠がわからない」という発言が頻繁に飛び出します。社長や直接の上司の前では、そんな姿をおくびにも出しませんが、彼らの心の奥底では、目標に対する恐れが強く根付いています。

マネジャーは、目標に対する恐れを部下に抱かせてはなりません。成果を上げるには、「どうすれば達成できるのか」ということに意識を集中させなければなりませんので、何よりも優先して、部下をそういう姿勢に導きましょう。では、どうしたらいいのか。

「あるべき姿」が如何に共感できるものであっても、ただ発信しているだけでは、価値の押し付けと何ら変わりません。魅力的な「あるべき姿」であったとしても、それだけで、部下が一生懸命に実現に取組むほど簡単ではありません。みんな価値観は違うので、「あるべき姿」に感じる魅力もまちまちです。メンバー全員をあるべき姿の実現に巻き込むためには、本気で一緒になってあるべき姿の実現に取り組んでもらうよう、マネジャーが部下に働きかけるのです。共感を得るのに公式めいたものなどありませんが、次の2つの行動が非常に重要であると思います。

  • 協力をお願いする
  • 協力に感謝する

この2つを詳しくみていこうとすると、文章のボリュームが大きくなりますので、今日はここまでにします。続きは、次回から2回に分けて書いていきます。