× マネジメント

マネジメントの力で良くしてみよう

将来の問題が起こるのを予防しよう

昨日は「信頼する」ということについて考えました。信頼とは結果いかんにかかわらず相手を信じること。そのためには、部下が失敗しないような状態を予め作りあげて、送り出してやらなければなりません。

kakemana.hatenablog.com

ここには、マネジメントが前提する考え方が横たわっています。それは、「マネジメントの基本は予防である」ということです。どういうことか掘り下げてみます。

マネジメントの使命は成果を上げることです。いろいろな条件が揃ったときには成果が上がり、そうでないときには成果が上がらなかった、というのではマネジメントではありません。漠然とやっているだけです。

マネジメントは、確実に成果を上げることを求められるわけです。こう言うと、達成すべき結果をなるべく低く、実現しやすい水準に設定したくなりますが、それは「成果」ではなく、「成り行き」です。マネジメントは、達成が難しいことを成し遂げることを要請されるのです。厳しいですね。

ではどうするのか。可能性をぐっと引き上げるのが、「予防する」ことです。「先を読む」のです。当たり前のようですが、これがなかなかできません。言われてみれば、うまくいかないことがわかっていたのに、行動を変えない、ということことです。これは至るところで起こっています。いくつか挙げてみます。

  • 何期も連続して目標を達成していない企業で、前月の芳しくない結果を見て、上司は部下にハッパをかけるだけで、丸投げしている現状を変えようとしない
  • スポーツのチームで、「今年の目標は全国大会優勝」などと掲げながら、勝ち上がったことがない従来と何ら変わらない練習を続ける
  • 学校のテストで、学年の順位を上げたいと言いながら、これまでやってきた勉強方法や量を見直そうとすらしない

 これらの例は、悪い事態が起こるべくして起こっています。神風でも吹かない限り、成果は上がらないでしょう。

 

では、どうすれば「予防する」ことができるのかを考えてみます。「予防する」とは、成果が上がらないという悪い事態が起こらないようにすることです。予防するためには、視点を未来に向けなければなりません。目指したことが実現できると具体的な根拠を持って事前に言えるようにする、ということです。そう言えるためには、次の2つのことが求められます。

  1. 目指したことを具体的に設定する
  2. 現状を続けた場合、どうなるのかを予測する

予め悪い事態が起こらないようにするには、「実現を目指したこと」とはどういうものなのかをはっきりとさせておかなければなりません。
企業の場合、目標が達成できた状態とは、具体的にどうなっているのか、と考える必要があります。例えば、営業の場合であれば、売上目標を達成できたときには、どのようなお客様が何人、いくら買ってくれているのか、ということを描くわけです。

野球チームの例では、全国大会で優勝するためには、ピッチャー陣はどういうレベルで何人揃っていなければならないのか、守備や打撃のレベルはどうかと決めていく感じです。テストの順位でも同じです。学年10番以内に入るためには、英語や数学などの教科ごとに、どういうレベルになっていなければならないかを描いてみる必要があります。

その一方で、これまで通りにやった場合、どういう状態になるのかも予測しなければなりません。そのためには、過去の事実を正確に把握して、これまでどういった結果だったのかを見つめければなりません。そして、同じ行動を続けた場合に、どういう結果になるのか、従来の延長線上にある未来を描いてみるのです。
そして、「目指したこと」と「従来の延長線上の未来」にギャップがある場合、その違いを具体的に明らかにして、それを埋める行動をとる、これが「予防する」ということです。
目の前のことに追われていると、どうも足元だけを見ていて、未来に視点をおくことを忘れがちです。成果を上げるためには、将来の問題が発生することを予防しなければなりません。そのためには、日常的に未来を見る必要があります。一日の終りには、明日以降を想い描いてみましょう。