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× マネジメント

マネジメントの力で良くしてみよう

事実をつかむ

事実は本当に重要です。
マネジメントに関わらず、現実の世界に生きる以上、事実をつかむことは不可欠です。日常生活のどうような問題でも、解決するためには、目の前のことに個別具体的に対処しなければならないからです。何が起こったのかがわからなければ、どうすべきかわかりません。間違った意思決定をしてしまうわけです。
ときより、子供の行動を一部始終見ていたわけでもないのに、子供をいきなり叱りつける親を見ることがありますが、問題が何なのかはっきりしないのに、叱りつけられる子供が不憫でなりません。何も解決しませんし、子供が正しいことを学べるとも思いません。

事実とは、当たり前ですが、実際に起きた出来事や現実に存在する事柄です。つまり、事実は、ある事柄について、たった一つの事象しか存在しません。たった一つの事象なら、正確に把握することはとても簡単なようですが、そうではありません。

マネジャーは、ことのほか事実を把握するのが難しいです。それには2つの理由があります。
一つは、部下が常にマネジャーの目の前に居るとは限らないからです。目の前で起こったことではないことを、事実として把握するには、部下から事実を聞き出さなければなりません。「百聞は一見にしかず」ですが、マネジャーは「一見」していられないので、「百聞」で事実を把握しなければなりませんから、どうしても難しいのです。
もう一つは、部下が事実を伝えるとは限らないからです。これにはいくつか理由がありますが、最もよくあるのは、部下は事実を認識していないということです。実際に遭遇したことなのに、どうして認識していないのかというと、人は解釈したり判断したりしながら事実を認識するので、意識的に思い出そうとしなければ、事実をそのまま吐き出せないのです。また、悪い事態であればあるほど、事実はそのまま報告されません。これは部下が悪いのではありません。人間はそういうものだと思った方がよいでしょう。
日頃から「事実で報告せよ」と習慣づけられていても見られる傾向です。いずれにしても、人は経験したことに感情が織り交ざってしまうのです。

 

マネジャーは、どうすれば事実を正確に把握できるのか、これについて考えをまとめてみます。
日頃よく遭遇する「事実ではない報告」には、以下のような共通した傾向があります。

 

誰が、誰に、どこで、いつ、いくつ及びいくらなどが特定できない

 

当たり前ですね。人、物、場所や日時が特定されていない話を聞いても、その場の状況が想像できません。その原因は、難しい熟語や慣用句、「大きい/小さい」や「稀に/頻繁に」といった程度を表す形容詞や副詞など、抽象的な言葉で表現されるからです。状況を想像できない話をした部下には、是非、「何を言っているのかわからない」ことを丁寧に伝えてあげて下さい。そして、以下のような質問をすることで、事実として足りないことを引き出してあげるようにして下さい。

誰が誰に対して行った振舞なのか?

何をしたのか?(動作そのものを聞く)

いつ行われたのか?

どこで行われたのか

何個または、いくらなのか?

何と言ったのか?(発言そのものを聞く)

見た話か聞いた話か?

これは会話だけではありません。日報など活動の記録をする帳票などにおいても同じことです。マネジメントにおいて状況を把握するときの作法は、事実をベースにすることです。すべての部下が出来るようになるまで、繰り返し、質問や指摘をし続けて下さい。なお、事実に基づいてコミュニケーションをすることの副産物として、観察力が高まったり、注意深くなったりするという効果があります。事実をベースにすると曖昧なことは許されないため、その場の状況に集中して目を配り、人の会話に耳を傾けなければなりません。部下の観察力や注意深さのレベルを決めるのは、マネジャー自身の想像力と事実を大切にしようとする姿勢によるところが大きいと思います。もし、十分に事実を把握していない部下がいたとしても、原因を部下だけに押し付けたりせず、自分の質問の仕方を変えたり、把握すべきことを予め用意させたりして、事実の把握を徹底するようにして下さい。

仕事ができる人に求められるものとして、「論理的思考」がよく挙げられますが、それと同じくらい「事実をつかむ」ことは重要です。筋道を立てて考えられても、事実に基づかないものは、現実の問題解決には役に立たないからです。まずは、事実をつかみましょう。