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マネジメントの力で良くしてみよう

マネジメントを習得するには

マネジメントは教えられない

マネジメントを教える、これはとても難しいです。よく、ビジネスセミナーなどのホームページで「マネジメントを教える」という趣旨のことが書いてあるのを見ます。どうも「あやしい」と思ってしまいます。マネジメントは、実践で具体的な成果を上げなければなりません。それがマネジメントの機能だからです。セミナーで教わったことで、受講者が直面する具体的な問題を「何とか解決する」ことができるのでしょうか。

 

セミナーで、集団に何かを教えるということは、そのコンテンツは、一般論であるか、ごく少数の事例くらいでしょう。つまり、それらはマネジメントに関する知識だということです。知識を得ただけで、それを自分が直面する問題に応用し、成果を上げることができるのは、ものすごく優秀な人たちくらいでしょう。もちろん、セミナーが悪い訳ではありません。「知る」ことがなければ、そもそもその存在を認識することもできないので、何も始まらない。知ることはとても重要です。

しかし、知っていることと実行できることの間には大きな隔たりがあります。いわゆる「Knowing-Doing Gap」が横たわっています。この隔たりを埋めることができなければ、成果を上げることもできませんので、いくら知識を蓄えたところで、マネジメントを習得したことにはならないのです。

マネジメントは技芸

では、なぜマネジメントは教えられないのか。それは、マネジメントが技芸だからではないでしょうか。「技芸」つまり、マネジメントが芸術に関する技能に近いからです。どういうことでしょうか。

成果を上げるマネジャーには、いろいろなタイプの方がいます。話し方を一つとっても、結論から簡潔にわかりやすく話す人や論理的に前提、根拠、結論の順番で丁寧に話す人など、バラバラです。その人に合っていれば、どのような話し方でも成果が出るのでしょう。

部下との関係でも、精神的に一定の距離を保ち緊張感が漂う関係を好む人もいれば、日頃から部下と親しげに接し、上下関係などないような雰囲気を好む人もいます。これも、どちらがいいとは言え切れません。

部下についても同じです。経験や能力はもちろん、逐一相談をしないと行動できない人もいれば、放任されている方が結果を残す人もいます。どういう接し方をすればよいのかは、部下ごとに違うのでしょう。

実現すべき成果もさまざまです。コストを削減するのか、作業を正確に行うのか、時間を短縮するのか、販売数を増やすのかなど。

さらに、マネジャーの意思決定次第で組織の未来が変わります。大きな成果を逃すかもしれない、損失を被るかもしれない。成果を上げるには、責任を負う立場で、決断をくださなければならないのです。つまり、厳しい精神状態でやりくりしなければならないのです。

このように、何かやり方を知ったからといって、成果を上げられるようになるというものではありません。これは、楽譜が読めたからといってピアノをひけるようにはならない。さらに、楽譜どおりにピアノがひけたとしても、コンクルールのような場所で心に沁みるような演奏ができなければ、芸の腕を上げた、芸を極めたことにはならないのと同じではないでしょうか。

 

習得するには実践で手柄をあげるしかない

マネジメントは成果を上げなければなりません。つまり、「意図した良い結果」という実績をあげなければならない、ということです。そのためには、実践で何とかする以外にないのです。マネジメントを習得するには、実際に責任あるポジションにつき、実践で何とか結果を出そうとする。これを繰り返すしかないでしょう。そこで、マネジメントとはこういうものではないかと学び取る、自分にあった技能を発見する、これだと思います。これを確実なものにする、加速させるためには、教えるのではなく、一緒になって考え、寄り添って意見を述べる、これが最適ではないでしょうか。