× マネジメント

マネジメントの力で良くしてみよう

位置づけを示す

f:id:kakemana:20220209190334j:plain

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。
 先日、日頃は爽やかな経営者が、ある管理職に対して、「お前がそんな発言をするなら、経営メンバーから下りるか」という発言をしました。その時、思わず「そういうポジショニングかぁ」と嘆息が漏れてしまいましたが、その瞬間に、次のnoteの記事はこれについて書こうと思いました。今回は、そんなコミュニケーションの土台となる、相手との関係、位置づけに関するお話です。よろしければ、最後までお付き合い下さい。

相手との関係を大切にする日本人

 「英語に敬語はない」と言われることがありますが、実は英語でも立場によって言葉を変えることはあるそうです。ただし、それは品格の高い人が丁寧で上品な言葉遣いをするという形であり、「誰が」話すかによって言葉が変わることがあるそうです。
 これに対して、日本語には尊敬語、謙譲語、丁重語、丁寧語および美化語の5種類も敬語があり、相手が目上なのか、目下なのかというように、「誰に」話すかによって言葉遣いを変える文化があります。これは、古来から日本人が相手との関係を非常に大切にしてきたことによるものであり、日本人同士でコミュニケーションをとる場合には、相手との関係に十分に配慮する必要があることを表していると思います。皆さんも、相手のタメ口が気になったり、言葉遣いを注意されたりしたことが、少なからずあるのではないでしょうか。

さまざまな位置づけ

 位置づけには、目上かどうかなど地位や年齢による関係ばかりではありません。人は意識して、ときには無意識に相手の関係を位置づけているものです。例えば、「上司」の場合には、次のように位置づけられることがあると思います。
・仕事を振る人/押し付ける人
・細かいところまでチェックするお節介な人
・発言がコロコロ変わる思いつきの人
・助けにならない頼り甲斐のない人
・決断できない人
・結果だけを見てバッサリ切り捨てる人
・口うるさいけど抽象的なことばかり言う人
 思いつくままに挙げてみましたが、皆さんの周囲にも、こんな管理職がいるのではないでしょうか。「上司」は水槽の金魚のような存在ですので、部下は常に、上司が何をしているのか、何を言ったのかに注目しています。管理職の皆さんは是非、日頃の言動に注意して下さいね。知らない間に、上司であるあなたは部下のなかで「位置づけ」られているものと思います。

位置づけの大切さ

 概念としてお示しする以上、「位置づけ」を簡単に定義致しましょう。
ここで言う「位置づけ」とは、言動によって認識した、自分と相手との関係であり、自分にとってどういう存在なのかを示したものである、といえるでしょう。いかがでしょうか。ビシッと決まりましたでしょうか。もう少しフランクに言うと、本人がそう示したいか否かには一切関係なく、相手のなかで「この人はこういう人だ」と貼り付けられたラベルです。
 この「位置づけ」は非常に重要です。どれくらい重要かと言うと、コミュニケーションの行方を左右するくらい、言葉がどういう風に解釈されるのかを決めるくらい重要だと言っても言い過ぎではありません。まさに、コミュニケーションの土台を成すものだと考えていただけたら良いと思います。
 例えば、上司から「凄い! よくやったね。」と言われていても、「位置づけ」によって解釈が変わります。もし「嫌われることを恐れる人」という「位置づけ」の上司の場合、部下は「また言っている。あの人は誰にでもそう言うから」と解釈されるかもしれませんし、一方で、「要求水準が高く厳しい上司」という「位置づけ」の場合には、「あの人があぁ言うんだから本当に認めてくれたんだ」となるかもしれません。相手に真意を伝えたければ、「どういう言葉を使うか」の前に、「どういう存在として認識されているか」が重要です。つまり、良好な「位置づけ」なくして、良好なコミュニケーションはないのです。

位置づけを示そう

 相手が知らないうちに「位置づけ」を決めてしまう訳ですが、円滑なコミュニケーションを実現するには、自分から主体的に「位置づけ」を示すように致しましょう。では、どう示すべきなのでしょうか。
 ここでは、「位置づけ」をコミュニケーションを上手に行うためのテクニックとして理解していただきたくない、もう一度書きますが、あくまでテクニックではなく、相手と円滑なコミュニケーションをするための姿勢として、ご理解いただきたいので、どういうことが「位置づけ」になるのかを例示するに留めたいと思います。
 例えば、次のような場合にも「位置づけ」を示す言動になります。皆さんは、こういう上司をどう「位置づけ」、どうお感じになりますでしょうか。
 ・パソコンに入力しながら部下と話す
 ・外回りをしてきた部下に「お疲れさん。寒くなかった?」と声をかける
 ・「〇〇さん。最近太ってきたんじゃない⁈」
 ・管理職になる前は毎期トップの営業成績を納めていた
 ・頻繁に打合わせをリスケ/キャンセルする
いかがでしょうか。多くの言動が「位置づけ」の材料となり、その積み重ねによって、「位置づけ」が固まってきます。是非、一度周囲の人の「位置づけ」を言葉にしてみながら、「自分は相手にとってどう位置づけられているのか」振り返ってみてください。

最後に

 いかがでしたでしょうか。今回は主に立場に関する「位置づけ」について、整理してみました。「位置づけ」には他にも「場面」に関するものがありますが、別の機会に書きたいと思います。皆さんとって、我々がどういう「位置づけ」になっているかわかりませんが、マネジメントやコミュニケーションなど、組織・集団が少しでも良くなるように願う同志として「位置づけ」られたら嬉しい限りです。今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。