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どうすれば規律を守るのか

引き続き、マネジメントでとても大切な「規律を守る」ということについて考えます。「規律を守る」ことの基本コンセプトは前回整理してみました。

kakemana.hatenablog.com

今回は、どうすれば規律に従って行動するようになるのか、というを整理します。

規律は、誰かに強制されるものではありません。自ら従うものです。というのは、規律とは価値観そのものだからです。守ることが義務付けられたものではなく、守るべきだと感じるものです。人は組織が持つ価値観を自分のものとして受け入れることができます。心理学でいう「内面化」というやつです。私利私欲にとらわれず、「それはとても大切だ」だと判断したら、自分の価値観としてそれに従うことができます。
組織の価値観に決して従わない部下を持つ方は、にわかには信じられないかもしれません。しかし、「集団の価値観を受け入れて行動する」ことは、先天的に人間に備わった性質だと思います。それは、自分勝手な振る舞いをして、集団の和を乱す、つまり集団の価値観を無視して行動する人たちは、ヒトが進化する過程で淘汰されてきたからです。例えば、次のようなことが想像できます。先史時代では、「美味しそうな木の実を見つけた」などといって集団から勝手に離れると、他の部族や肉食動物の餌食になる危険があったでしょう。孤立したヒトはとても弱い存在ですから、簡単にやられてしまう。そうすると、そのヒトが所属していた集団は人数が減ることになる。人数が減れば、それだけ集団の競争力は弱くなる。弱い集団は、より強い集団に制圧されてしまう、というわけです。

逆に言うと、利他的な行動をとる集団が生き残ったことになります。生き残るには個人的な利益を最優先するのではなく、集団のために他の人を助けることが必要だったのです。経験や知識を詳しく仲間に話すことで問題解決を手伝う。それを繰り返すことでお互いに学び合える。そして役割を分担し、それを全うしようとする。これが規律を守ることの原型だと思います。私たちは自分勝手な人を嫌う傾向があります。それは、集団が生き残るのに、身勝手な人は危険な存在だということを本能的に知っているからではないでしょうか。

 

進化の過程を生き残ってきたヒトが、本能的に他の人を助けようとする動物だとすると、皆が例外なく組織の価値観を自分のものとして受け入れる、つまり規律に従うかというと、もちろんそうではありません。規律を守るのには、次の2つの条件が必要だと思います。
一つは、その規律自体を「正しい。守ることに価値がある」と思えること、もう一つは、組織の責任者を信頼していることです。このどちらも欠けてはなりません。続きは次回です。